手の良い器は五枚組で
2017年 10月 26日
昨今、古伊万里の上手の器が少なくなりました。
そして、昔は山ほどあった器も今は単品ものが目につきます。
長い間、器の仕事をしていて、こんな時代がやってくることなど思いもしませんでした。
昔々、サラリーマンをしていた頃職場の近くに小さな骨董屋さんがあって
ため息をつきながら眺めては、胸の高鳴りを抑えたものでした。
ある日染付の何とも言えない図柄の七寸皿が目に留まりました。
五枚揃いですが、当時の私にはとても高価で三枚ならば買えるのに、、
そう考えては毎日通ったものです。
店主は私の気持ちがわかったのか、ばら売りもできるけれどいつか将来、あのとき何故五枚
買わなかったのかと、必ず後悔する日が来ますよと優しく言うのです。
ほんとうにそうだろうな、そう素直に思いました。
あれから25年持ち続けています、今でも食器棚の中にあって眺めてはため息をついています。
長い間一人暮らしで五枚組の器が活躍する日はそうそうありませんでしたが、それでも
手の良い器は、もしあれば、五枚組と今でも思います。
久しぶりに見つけた染付の蛸唐草のお皿を見ていたら、随分昔の思い出が蘇りました。
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