阿久根へ
2016年 08月 12日
阿久根の松本晃さんが逝いて四年、月日の経つのは早いものです。
七月の下旬、奥様からお電話をもらいました。
地震の被害を心配されてのことでした。
器は割れたけれど、店は無事であったこと、そして何よりこれからも仕事が続けられること、
そんな話をしながら、手に入らなくなって改めて松本さんの器が素晴らしいモノであったことを
お伝えしました。
毎日食卓にあがる松本さんの器は肌合いや風合いが美しく、両手に包むとしっくりと手に
なじみ、表情は無愛想なのに楚々とした品もあります。
土づくりから釉に至るまで勉強を重ねた方でした。
こういう器を作る人を、またこれから先見つけることは、とても難しいなと思っています。
久しぶりに阿久根への旅をしました。
四年ぶりの工房は時が経てども、あの頃と変わらずにありました。
奥様のお許しを請い作業場の棚に残っていた、まだ目跡の処理が済んでいない器を
ひとつひとつ磨いていくと五客は揃わないけれど、懐かしい粉引や灰釉の素敵な器が
見つかりました。
丹念に手に取り見つけていくと、だいぶ以前の焼き物も出てきました。
松本さんは何故こんな素敵な器を棚の奥にそのままにしていたのだろう・・そんな疑問が
浮かびましたが、作家はどんどん前に進んでいくもの、そういわれたことを思い出すと
謎は解けていきます。
果たして私の好きな枯れた器、枯せた雰囲気の松本晃さん最後の器を
嬉しくも分けていただくことができました。
総数50点 九月の半ばあたりに一同にご覧頂こうと計画をしています。
松本晃さんの器ファンの方、作者の名前など関係なくこの方の器が
ただ好きだという人の手元に届けられたら、これほど幸せなことはありません。
応援よろしくお願いします